第63章 お前はまた何を根拠に

その言葉が落ちた瞬間、佐伯薫の顔色が「さっ」と引き、反射的に有川紘樹へ助けを求める視線を投げた。

「佑奈」

有川紘樹の声には、誰が聞いてもわかる警告が混じる。まさか本当にやるはずがない、とでも言いたげだった。

だが川西拓海は、あくまで悠然と茶を注ぎ、彼女へ差し出した。

「佑奈さん、何でも話し合えますから。どうか……」

佐伯薫が言い切るより早く、空中に細い水の弧が走った。

佑奈は一切ためらわない。差し出された湯呑みを受け取るなり手首を返し、茶を丸ごと佐伯薫へ浴びせた。

佐伯薫の悲鳴は、喉の奥でぷつりと途切れる。

有川紘樹は咄嗟に彼女を背後へ引いたが、純白のドレスは結局、逃げ切れ...

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